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UK 英国情報

「DAKSを象徴するDDロゴやクレスト(紋章)に秘められた想い」

DAKS2015年秋冬のシーズンテーマは、「LUXURY IN MOTION~躍動感溢れるラグジュアリー~」。
“車”からインスピレーションを受け、特に英国の車産業における長い歴史の中で培ってきた拘りや技術力に着目しました。

今回の英国情報では、シーズンテーマのキーコンセプトともなった“車(Wheel)”とDAKSとの、実はあまり知られていない意外な繋がりをご紹介させていただきます。

今シーズンのコレクションは、特に英国の”車”からインスピレーションを受けており、高級感漂うエレガントなイメージの中にも、躍動感溢れるダイナミック且つスポーティなムードを表現するために、艶感のあるダッシュボード、ホイール、ヘッドライト、またテールランプなど車の要素を随所に取り入れ、これまでとは一味違うDAKSの世界観を作り上げました。




艶感のあるダッシュボードやテールランプの光など、車の要素を随所に取り入れた今シーズンのビジュアル



このキャンペーンビジュアルには、英国「Jaguar」社の「Jaguar 1961 E type」が使用されています。この「E type」は「Jaguar」のスポーツカータイプとして名前を広く知らしめた「C type」や「D type」にちなんで命名されました。そのアルファベットネームの系譜を受け継いで、このモデルは流麗なデザインと卓越した性能を持ち、単なるスポーツカーを越えて大きな人気を博しました。

その人気ぶりは凄まじく、発売から13年間で約7万台という驚異的な台数が生産されたのです。中でも米国での人気が高く、生産された「E type」のうち、約60%が米国へと輸出されたほどでした。



シーズンビジュアル撮影のため、スタジオに準備された「Jaguar 1961 E type」


更に、「Jaguar」のみならず、高級スポーツカーメーカーとして1919年に設立された「Bentley」との間にもDAKSは深い関係があります。




「Bentley」の象徴、ロゴプレート

(「ベントレー・モーターズ・ジャパン」ホームページより)


「Bentley」は、フランスで開催されるル・マン24時間耐久レースで、1930年代に5度の優勝を誇りました。その後、「Rolls-Royce」や「Volkswagen」により買収されますが、2003年にはル・マン24時間耐久レースで6度目の優勝を飾り、スポーツカーとして王者の座に返り咲きました。

また、「Bentley」の機能性における素晴らしさはスポーツカー以外の車種にも見ることが出来ます。その最たるもので、「Bentley」社の技術を世界に知らしめたのが、2002年エリザベス女王の即位50周年を記念して、イギリスの自動車製造社協会から英国王室に公用車として進呈された「Bentley State Limousine」です。英国王室の専用車両となったこの車には特注のボディーが使用されており、地雷の爆発や毒ガスから王室の方々を守ることが出来る設計になっていたと言われます。

その「Bentley」とDAKSとの関係は、DAKSが「Bentley Drivers Club」という団体のスポンサーとなったことがきっかけとなりました。

 



スポンサー時の「Bentley Drivers Club」のプレート。オリジナルでDAKSロゴがデザインされている



その「Bentley Drivers Club」とは、ケストン・ペルモアという1人の熱狂的なBentleyファンにより設立されたクラブです。



「Bentley Drivers Club」創立者ケストン・ペルモア氏

 (「Bentley Drivers Club」ホームページより)


「Bentley」に魅了されたケストン・ペルモアは、自分と同じように「Bentley」を愛する人々と会合を開きたいという思いから、あるレース会場の駐車場に停められた「Bentley」車のフラントガラスに招待状を挟み、最初の会合を開いたのが「Bentley Drivers Club」の始まりです。そんな、「Bentley愛好会」は、その後大きく発展し続け、現在では世界中に3,700名を越す会員を持つ大規模なものとなりました。

そしてDAKSは、1980年代にこの「Bentley Drivers Club」のスポンサーとなりました。そのスポンサー活動の一環として、オリジナルブレザーの提供や、”DAKS”の文字をなぞらえて、”DAK5”のナンバープレートの付いたオリジナルビンテージBentley車を所有し、当時の宣伝ビジュアル等に使用するといった活動も行なっていました。




かつてDAKS社が所有した「Bentley」車
ナンバープレートには"DAKS"の文字をなぞって、"DAK5"の番号が付けられました。



また、DAKSと車にまつわる関係の中で、語らずにいられないのがスポーツイベントへの協賛です。

以前の「英国情報」でもご紹介したとおり、1960年代以降、DAKSはゴルフをはじめ、フットボールやテニスなどスポーツ界への協賛を精力的に行い、春はボートレース、夏は全英テニス選手権(ウィンブルドン)、秋には乗馬イベント、更に冬には、ロンドンに英国初の屋内スキー場を開設するなど、四季を通じてスポーツとの関わりを持つようになりました。

その一環として、モータースポーツもサポートし、元F1チャンピオン、ジャッキー・スチュワート卿の息子、ポール・スチュワート率いるF3000チームや、1974年に行われたWorld Cup Rallyチームへのユニフォーム提供など、モータースポーツシーンにおけるスポンサー活動も積極的に行いDAKSのブランド訴求を実施しました。

 



DAKSのチームウエアを着用しているポール・スチュワート率いるF3000チーム。
写真中央のスーツ姿の男性が、元F1チャンピョンのジャッキー・スチュワート



1974年のWorld Cup Rallyのイングランドチーム。この時のユニフォームもDAKSが提供。

左端の男性は、F1でも活躍したレーシングドライバー、スターリング・モス


もう一つ、DAKSと車の関係を象徴するのが「移動広告」です。
DAKSはかつて、北ロンドンのストーク・ニューイントンに生産工場を保有していました。その工場は、商品の生産過程を完璧に管理し、現代の「イージー・オーダー」と同様の注文方式で商品を顧客に提供することで、ビスポークのクオリティを既製服に再現するための工場でした。
その後、英国内の輸送システムの充実は、このイージー・オーダー戦略を後押し。毎晩午後11時に仕分けされたサンプルと完成品は夜行列車に積み込まれ、翌朝までには目的地に到着。一方で、地方のテイラーが変更を指示したサンプルスーツは、午前6時にロンドに到着。そのまま工場へ運び込まれると、2時間後の午前8時に出社してくる職人がすぐさま作業にかかる。この迅速さが更に客層を広げ、爆発的な人気を得ました。

この輸送に使用され、DAKSの「移動広告」の象徴となったのが、「DAKSアスキスバン」です。



ストーク・ニューイントンの工場から商品を出荷している様子。
DAKSの大きなロゴがデザインされているのがアスキスバン


「DAKSアスキスバン」は1930年代から1950年代までの間使用されたDAKSの商品運搬車両で、名前にある「アスキス」とは英国の自動車メーカー「Asquith」社に由来しています。イギリスのエセックス州グレートイェルダムにあった「Asquith」社の自動車工場では、30人の従業員によって1,000台を越す自動車が手作りで生産されていました。

職人とも呼べる従業員達による“作品”には、温かみや拘りが感じられ、その人気から「Asquith」社の車は日本にも輸出されていたといわれます。
この「DAKSアスキスバン」は、当時4台生産され、ストーク・ニューイントン工場をはじめとする生産工場から、DAKSの旗艦店「シンプソン・ピカデリー」まで商品を運搬していました。その車体にデザインされた大きなDAKSのロゴが、道行く人の目に留まり、瞬く間にDAKSの名はロンドン市内で有名となり、同時に「シンプソン・ピカデリー」もロンドン市内の有名なファッションビルとしてその名を知らしめました。

そのロンドンのファッションを牽引したともいえる「シンプソン・ピカデリー」と、DAKSの生産工場の間を運ぶという役割を担いつつ、ブランドイメージを広めるという上で重要な役割を果たしたのが「DAKSアスキスバン」でした。

※「シンプソン・ピカデリー」に関しては、英国情報Vol.27を参照下さい。
http://www.daks-japan.com/englishinfo/vol27.html

その後、更に1台が生産され、世界に計5台存在した「DAKSアスキスバン」の内、2台は日本にあり、現在でもDAKSのイベント等で登場し活躍しています。



現存するDAKSアスキスバン(レプリカモデル)


1980年代に入ると、DAKSの「移動広告」は多様化します。
その一つが、「DAKSホース・ボックス」。DAKSは英国王室御用達ブランドとして40年以上に亘り、英国の中でも最大規模の馬術競技大会で、エリザベス女王主催のロイヤル・ウィンザー・ホース・ショーのスポンサーを務めています。そのイベントで登場するのがこの「DAKSホース・ボックス」です。この車のボディーにもDAKSのロゴ、そしてナンバープレートにはBentleyと同じDAK5=DAKSの文字がデザインされています。



「DAKSホース・ボックス」は1984年に登場。
ロイヤル・ウィンザー・ホース・ショーや数々のイベントにおいて活躍


その後、タクシーやデザインを変えた商品運搬車両など、DAKSのロゴがデザインされた車両がロンドン市内を走行し、あらゆるところで「DAKS」の文字が人々の目に留まるほどにまで多様化していきました。


当時は斬新なアイディアだったDAKSタクシー(1980年代後半から90年代初頭)


1990年代前半から2000年代初頭にかけ使用された商品運搬車両
※左はシティ在住のお客様への商品運搬に使用された「DAKSトランジットバン」。
※右はスコットランドのラーク・ホール工場とロンドン間の商品配送に使用された「ラーク・ホールバン」
(「ラーク・ホール工場」= かつてDAKSがスコットランドのラーク・ホールに所有していた工場」)


これまでご紹介してきましたように、DAKSは120年を越える長い歴史の中で、多くの“車”との結びつきを持っており、その接点が今シーズンのテーマ「LUXURY IN MOTION~躍動感溢れるラグジュアリー~」へと繋がりました。

DAKSのクリエイティブ・ダイレクターのFilippo Scuffiは、英国が世界に誇る産業の一つであり、DAKSとの関係も深いこの「車」をキーワードとして2015年秋冬コレクションの企画をクリエーションすることを試み、「movement(動き)」、「evolution(進化)」、そして「dynamism(活力)」を表すラテン語「modus」に由来する言葉で、イタリア語で「ファッション」を意味する言葉「moda」をキーワードに、「動き」を創造するツール、そしてテーマとしての「wheel(車)」のコンセプトに辿りつきました。

2015年秋冬ファッションショーでも、クラシックキルト風のサドルを表現したバイカージャケットやスカートの他、モーターバイクから連想されるオーバーオールのライダースーツが登場するなど、車(Wheel)の要素がいたるところに組み込まれ、レッドとブラックを基調としたラグジュアリーでクールなコレクションが発表されました。



レッドとブラックを基調とした、エレガントなショーとなった2015年秋冬ファッションショー
このイメージが、「Jaguar 1961 E type」を使用したシーズンビジュアルのベースになりました


今回の英国情報、「DAKSと車」にまつわるストーリーはいかがでしたでしょうか?

DAKSが、ファッション界で革新をもたらしたビスポークテイラーのクオリティを既製服に再現させた生産工程には、それを側面から支えた「車」の存在がありました。そして、その輸送手段の一つに過ぎない「車」を広告として様々なシーンで活用し、宣伝ツールの一つとしてきたDAKSは、今では常識となった「移動広告」の先駆者的役割も担っていたのです。

今シーズン、モーターカーやモーターバイクのテーマにちなんだDAKSオリジナルモチーフをデザインしました。このかわいらしい今シーズン限定のアイコンは、商品やイベント・プロモーションなどでも使用してまいります。



2015年秋冬限定DAKSオリジナルモチーフ


【英国情報に関する問い合わせ先】
ジャパン・ダックス・シンプソン事務局(三共生興株式会社内) TEL:06-6268-5375