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UK 英国情報

-ソーシャルダンスとDAKS-

今回の英国情報では「ソーシャルダンス」をご紹介します。

「ソーシャルダンス」(日本では主として「社交ダンス」と呼ばれる)は、英語の「Sociality Dancing」の誤訳から出来たと言われています。英語では「Ballroom Dance」(舞踏室の踊り)とも訳されるのが一般的ですが、二つの言葉は同じ「ダンス」の種類を言います。

本来、社交ダンスというのは競技用と社交用の2種類有り、シーンや目的で踊り分けるスタイルの違いがありました。世界的に社交ダンスが有名になり、国際戦等スポーツとして発展する中で、歴史と共にルール化が必要となり、その中でボールルームダンスとラテンアメリカンダンスの2つのスタイルに大きく分けられるようになりました。

さて、この社交ダンスの歴史は12世紀頃に遡り、ヨーロッパ各地の王侯貴族を魅了し始め、ルネサンスの頃ヨーロッパ各地で流行したことが始まりと言われています。最初に誕生した社交ダンスはワルツ。これは、当時のヨーロッパの民衆の中で踊られていたダンスだと言われており、プロヴァンス地方で踊られていたヴォルトダンスが始まりだという説と、南ドイツからオーストリアにかけての民衆舞踏レントラーがルーツだという2つの説があります。

やがて、16世紀以降ラ・ボルタと呼ばれる体を付けて踊るカップルダンスが登場。18世紀後半には、ウィンナワルツで一対の男女が向かい合った状態で踊るようになり、現在の"社交ダンス"が誕生したと言われています。

その後、ヨーロッパ諸国の宮廷の舞踏会等でも、若者を中心にワルツが人気となりますが、男女が抱擁するこのダンスは、年配者や宗教関係者から強い反発を受け何度か禁止になったという歴史もあるそうです。しかし、ヨーロッパ各国の民衆のダンスに対する意識も強く、18世紀には、それまでの宮廷舞踊に混じって典礼儀式などの機会に取り入れられ上品化されました。 英国でも19世紀、ワルツ好きのヴィクトリア女王時代になるまで偏見が続いたと言われています。 20世紀前半になると、ジャズなどの北米生まれの新しい音楽の流行によりフォックストロットやジルバ等がラテンアメリカン音楽の流行でスクエアルンバ (音楽:ソン)やマンボ、またチャチャチャなどの新しいダンスが世界に広まってきました。


ルンバ

チャチャチャ

以降も各国で新しいダンスが生まれては廃れていきましたが、世界的な流行のきっかけは、1990年代頃生まれたサルサとアルゼンチンタンゴが大きな役割を果たしています。


アルゼンチンタンゴ

ここで、世界で最も有名な社交ダンスの競技会を紹介します。それはブラックプール・ダンス・フェスティバル(Blackpool Dance Festival)という社交ダンスの国際競技大会です。映画「Shall We Dance ?」で知られた英国のブラックプールにある、ウィンター・ガーデン(Winder Gardens)という建物で毎年5月下旬に開催されています。


ウィンター・ガーデン外観

ブラックプール (Blackpool)は、イングランド北西部、アイリッシュ海に面するランカシャー州(Lancashire)にあり、英国の保養地としても有名です。

 

19世紀半ばから鉄道の開通により観光客が殺到し、これに劇場やダンスホールが作られ、特に有名なランドマークが高さ158mのブラックプールタワー。この塔は1889年に落成したパリのエッフェル塔に遅れること5年の1894年に完成しました(ちなみに、1894年はDAKSの創業者シメオン・シンプソンがDAKSブランドの起源となるテイラードショップをロンドンに開業した年です)。エレベーター(英国ではリフトといいます)ホールには、故・ダイアナ妃が訪問された時の写真も飾ってあるそうです。タワー上方の建築装飾は、まさに鉄の芸術を生み出すヴィクトリア時代を物語っています。天気の良い日は遠くからでもタワーが望めるほどこの街の象徴となっています。


ブラックプールタワー
 
タワーの近くにはこんなテーマパークも

このブラックプールで行われるダンスフェスティバルは、ウィンター・ガーデンの音楽監督だったハリー・ウッド氏 (Mr. Harry Wood) 、またブラックプールで音楽出版をしていたシャープルズ&サン株式会社 (Sharples & Son Ltd.) のネルソン・シャープルズ氏 (Mr. Nelson Sharples)の発案でスタートしたと伝えられています。

第1回目のブラックプール・ダンス・フェスティバルは、1920年イースター(復活祭)の時にウィンター・ガーデン内のエンプレス・ボールルームで開催されました。当時、英国スタイルのモダン・ボールルームやラテンアメリカンダンスはまだ現れておらず、シークエンス・ダンスのワルツ、ツー・ステップ、フォクストロットの3種類の競技のみで、1日に1競技が行われるだけの小規模なものでした。その後、年が経つにつれフェスティバルの規模も大きくなってゆきます。1929年には、英国北部プロ&アマチュア選手権の他、アマチュア・ベレータ、ベテランズ・ワルツ、そしてオリジナル・シークエンス・ダンス競技会等が行われるようになり、次第に人々も英国スタイルのダンスに興味を持ち始めます。そして、1931年に新たに行われた英国プロ&アマチュア選手権では、それまで「北部のダンス」というイメージが強かったブラックプールでのダンスフェスティバルのイメージを払拭しました。この頃になると、大会の規模も大きくなり、全国約40地区で250の予選が行われ、そこで勝ち抜いた選手達のみがブラックプールで行われる決勝に出られる権利を得たそうです。

1950年代に入ってからは外国からの参加者も増えはじめ、1953年には北部アマチュア&プロ選手権、ボールルーム・フォーメーション・ダンス競技会、全英アマチュア&プロボールルーム選手権、加えてプロ・エキシビション・ダンス競技会等の大会が行われるほどになりました。

しかし、ダンス界における大きな変化はなんと言ってもラテンダンスが加わった事です。1961年には英国アマチュア・ラテン・アメリカン・トーナメントが、翌年にはプロの大会が開催され、この二つの大会は1964年には選手権に格上げされました。毎年恒例のチームマッチは最も人気があるイベントと言えるかもしれません。これは1968年に、ドイツと英国の2チームから始まり、現在は4チームで争われており、審査には中立の立場にいるジャッジが招待されています。

様々な大会が開催される中、ブラックプール・ダンス・フェスティバルは今年で88回目を迎えます。 今では60ヶ国からの参加者がおり、12イベントで合計約2,900組のエントリー参加があるほどの大規模な大会となりました。


ブラックプールダンス大会の様子

このように様々な歴史の中で変化を遂げてきた社交ダンスは、近年日本においても団塊世代の富裕層の趣味活動として年々人気が高まり、参加人口は100万人を超えるとも言われています。DAKSは古くからスポーツへの協賛振興活動を行ってまいりましたが、2014年春夏の企画テーマの一つにダンスの聖地である「ブラックプール」を掲げ、この度「アジア太平洋ダンス選手権大会」(日本プロフェッショナルダンス協議連盟主催)に協賛致しました。同大会は2013年9月22日に日本武道館で開催され、大会名には「DAKS presents」の冠が付けられました。

武道館入口に設置されたダンス大会のパネル


ダンス大会パンフレット

日本武道館正面入口ではDAKSの広告ビジュアルを掲載

この大会には、アジア・太平洋地域の国から、総勢140組以上のプロ、アマチュアが参加され、先にご紹介したブラックプール・ダンス・フェスティバルでも優勝をしたアルーナス(Arunas Bizokas)・カチューシャ(Katusha Demidova)組等、世界的にも強豪が競い合う大会となりました。


ダンス大会開会式の模様


ダンス競技中の模様

競技内容は「ボールルーム」と「ラテンアメリカン」の2部門から構成され、それぞれで5種目を設け、予選~決勝が行われました。「ボールルーム」部門では、ワルツ、タンゴ、スローフォックストロット、クイックステップ、ヴェニーズ・ワルツの5種目、「ラテンアメリカン」部門では、チャチャチャ、サンバ、ルンバ、パソドブレ、ジャイブの5種目、これらをそれぞれの参加者が思い思いの衣装を纏い競い合いました。社交ダンス、特にボールルームダンスは、もともと宮廷等で踊られていたダンスがルーツにあるため優雅なイメージがありますが、さすがに5種目それぞれ異なったダンスを一度に披露するとなると参加者もかなりの体力が必要です。また、ラテンアメリカン部門は、サンバやパソドブレ(闘牛士と闘牛をイメージしたダンス)等、ボールルーム部門以上に激しいテンポでのダンスで、参加者も汗だくになりながら踊っていたのがとても印象的でした。

ダンス競技中の写真。選手のゼッケン番号の下にはDAKSロゴがデザインされました

ボールルーム部門で優勝したアルーナス・カチューシャ組。ブラックプール・ダンス・フェスティバルで優勝の経験も

大会も終盤を迎えると会場内のムードも最高潮に達し、全種目が終了した時には観客全員スタンディングオベーションで出場選手を讃えました。この大会の模様は2013年10月20日(日)にBS-TBSにて1時間番組に編集され放映されました。またその際には、今年の9月に行われたロンドンコレクションで発表されたファッションショー時の、バックステージの様子などを編集し製作されたDAKSオリジナルのテレビCMも放映。尚、この時のテレビCMはDAKS公式ホームページ上でもご覧頂けますので、是非以下URLにアクセスしてみて下さい。


テレビ中継取材の様子

<DAKSテレビCM映像>


http://www.daks-japan.com/video/tvcm2013.html


今回の英国情報はお楽しみ頂けましたでしょうか?

DAKSは来年(2014年)創業120周年を迎えます。この記念すべき年を迎えるにあたり、アジア太平洋ダンス選手権大会に協賛する機会を得、英国文化の一つと言っても過言ではないこの社交ダンスのシーンを連想させる商品も企画。フォーマルウエアを中心に、英国、ダンス、そしてDAKSの繋がりを皆様にご紹介することで、英国独特のエレガントで洗練されたファッションをご堪能頂ければ幸いです。

DAKSの2014年春夏企画で紹介されているフォーマルウエアのイメージ図:ボールルームダンスをモチーフにしている

「トラディショナル」の中にも「モダン」さを兼ね備え、時代に左右されないテイストの「英国らしい上品なファッション」を目指し、今後も商品をご提案して参りたいと思います。


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三共生興株式会社内 ジャパン・ダックス・シンプソン事務局 TEL:06-6268-5375