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アフタヌーンティーを体験せずしてロンドンを語ることなかれ

文:野澤美保
写真:Miki Yamanouchi(RSVP)

イギリスと聞いて真っ先に思い浮かぶのがアフタヌーンティー。この習慣は19世紀半ば、7代目ベッドフォード公爵夫人によって広められたといわれています。当時の食事といえば朝食と夕食という1日2食が一般的で、夕方にはどうしてもお腹が空いてしまいます。ある日の夕方、自宅にゲストを招いた公爵夫人が紅茶と共にケーキなどの軽食を振る舞ったところ大好評で、上流階級の間で一気に広まりました。これがアフタヌーンティーの始まりです。

アフタヌーンティーはいまも英国の食文化のなかで重要な意味を持っています。三段のスタンドと共に運ばれる贅沢なサンドイッチや味わい深いスイーツ、英国の歴史を語る際に欠かせない紅茶、そしてテーブルを彩る陶器……。そこにはイギリスの粋が集約されていると言ってもいいでしょう。このアフタヌーンティーは我々観光客にとってだけではなく、英国人にとっても特別なもの。たとえば結婚記念日をアフタヌーンティーと共に祝うシーンもよく目にします。

さて、今回ご案内するのはロンドンのアフタヌーンティー・プレイス。なかでもDAKSがおすすめするのは、ホテルのアフタヌーンティーです。DAKSの本店があるメイフェア地区をはじめ、ロンドンには世界に名だたるホテルが点在していますが、それらのホテルが醸し出す空気のなかでいただくサンドイッチやスイーツ、そして紅茶の味わいは格別。これはロンドンを訪れた人だけしか体験できないものなのです。 では、とっておきのアフタヌーンティーの世界にご案内しましょう。

メイフェアの名門、ブラウンズ・ホテルで古きよき英国の伝統を堪能する

ブラウンズ・ホテル 写真

DAKS本店から歩いて数分のところにあるブラウンズ・ホテルは、数あるロンドンの名門ホテルのなかでも別格。創業1837年、そのアフタヌーンティーは、ヴィクトリア女王やアガサ・クリスティーも楽しんだそうです。お茶を頂くラウンジは、クラシックな木製パネルの壁に、モダン・アートの絵画が飾られており、伝統的な雰囲気とモダンなデザインが居心地よく溶け合った、落ち着きのある空間です。

三段スタンドで運ばれるイチゴ柄のお皿には、おなじみのフィンガーサンドイッチ、スコーンに、宝石のように愛らしいプチ・フールがお行儀よく並びます。英国で手に入る材料を厳選して作るというプチ・フールは、果物の季節によって内容が変わる。さらには、ワゴンサービスで、クリームとジャムをはさんだヴィクトリア・スポンジと、オレンジピールがたっぷり入った、スコットランド名物のダンディ・ケーキが巡ってきます。

「ロンドン一」と評されることもあるブラウンズのティータイム。まさに古きよき英国の伝統を心ゆくまで楽しむことができるアフタヌーンティー・プレイスです。

DATA

Brown's Hotel
Albemarle Street, London, W1S 4BP
+44 (0)20 7493 6020
www.brownshotel.com

※ 最寄り駅:Green Park
※ 料金:アフタヌーンティー £35、シャンパン付き £44
※ 時間:月〜金15:00(土日13:00)〜18:00

バッキンガム宮殿のお膝元 英国の粋を集めたゴーリング

ゴーリング 写真

ゴーリングは、代々家族経営の5ツ星ホテル。バッキンガム宮殿に近いという場所柄、国賓や英国のロイヤル・ファミリーを多数迎えてきました。アフタヌーンティーを頂く席に通されると、ショットグラスの「エッグス・ドラムキルボ」が運ばれますが、これはロブスターと卵のムース。故王太后の好物。よき顧客だったという彼女を偲んで、アフタヌーンティーのメニューに加えられたものです。

続けて、サンドイッチ、スコーン、プチフールが三段スタンドで運ばれます。材料はできるだけ英国産のもの、それも近郊で採れたものを使い、ハーブは自家栽培しているというほどです。プチフールも英国の定番スイーツが一杯で、ジャムとアイスクリームを巻いたアークティック・ロール、アップルパイ、クランブルなど。どれも現代的なアレンジが加わり、洗練された大人のお菓子に仕上がっています。

近年、英国では伝統料理が見直されるようになり、国産品の人気も高まりつつあります。でも、このホテルが英国らしさを追及するのは流行だからではありません。英国的であること、それこそがゴーリングで受け継がれてきた伝統だからなのです。

DATA

The Goring
Beeston Place, Grosvenor Gardens, London SW1W 0JW
+44 (0)20 7396 9000
www.thegoring.com

※ 最寄り駅:Victoria
※ 料金:アフタヌーンティー £25、シャンパン付き £34
※ 時間:15:30〜17:00

ナイツブリッジの隠れ家ホテル エジャトンでリピーター気分にひたる

エジャトン・ハウス・ホテル 写真

ロンドンの一等地にある高級ホテル、エジャトン・ハウス・ホテル。もともと貴族の邸宅だった建物だったところに客室はわずかに28室。その雰囲気はまるで個人のお宅にお邪魔したようです。このホテルでは、客の6割以上がリピーターとのことですが、ゲスト一人ひとりに、手間と時間を惜しまず、親身なサービスを提供するのがエジャトン流のもてなしです。

そんなエジャトンのアフタヌーンティーは、まさに至れり尽くせり。紅茶は、王室御用達の紅茶専門店ヒギンズのものを、銀のポットとドルトンの茶器で味わいます。たっぷりと具の挟まったサンドイッチは、できるだけオーガニックの材料を使い、ホテル特製のマヨネーズで仕上げられています。温かなスコーンは、さっくり、しっとり。たっぷりのクロテッドクリームで食べるアプリコットのスコーンが特におすすめです。

エジャトンでは、客が好きなときに来て、好きなだけ楽しめるようにと、アフタヌーンティーの時間枠は設定していません。だから、時間を忘れてのんびりとくつろいでいくのがおすすめ。あなたが存分にお茶の時間を楽しむこと。それが彼らの願いなのです。

DATA

The Egerton House Hotel
17-19 Egerton Terrace, London SW3 2BX
+44 (0)20 7589 2412
www.egertonhousehotel.com

※ 最寄り駅:Knightsbridge/South Kensington
※ 料金:クリームティー £12.5、アフタヌーンティー £25、シャンパン付き £34.5

アフタヌーンティー生みの親 ゆかりの地で体験するアフタヌーンティー

エジャトン・ハウス・ホテル 写真

モンタギュー・オン・ザ・ガーデンズがあるのは大英博物館のすぐ隣、ブルームスベリーと呼ばれる地区。この一帯はもともとベッドフォード公爵家所有の土地でした。アフタヌーンティーを始めたとされるのは7代目ベッドフォード公爵夫人。つまり、ここはアフタヌーンティー生みの親ゆかりの地なのです。

このホテルではアフタヌーンティー定番のサンドイッチ、スコーンのほかに、カップケーキがプチフールとして登場します。最近は日本でも話題になることが多いカップケーキは、英国でも人気上昇中で、チョコレートとクリームのデコレーションが目を引きます。

お茶を頂くのは、自然光のあふれる開放的なコンサバトリー。青空のもとでお茶を頂くようで開放感は格別。大きな窓の外には、ロンドン中心部ではめったに見られない広さの庭が広がり、青々とした芝がすがすがしく目に映ります。

優雅な貴族の習慣から始まったアフタヌーンティー。この愛すべき習慣を作り出してくれた公爵夫人に感謝しつつ、ゆっくりと、お茶を味わってみてはいかがでしょう。

DATA

The Montague on the Gardens
15 Montague Street, London WC1B 5BJ
+44 (0)20 7637 1001
www.montaguehotel.com

※ 最寄り駅:Holborn、Russell Square
※ 料金:クリームティー £11.5、カップケーキ・レボリューション£11.5、
  アフタヌーンティー £17.5、シャンパン付き £24.5
※ 時間:12:00〜18:00